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全国賃貸住宅新聞 2006年8月7日(月)掲載
異業種参入経営者が新風吹き込む
新風吹き荒れる
マンションデベロッパー研究
柔軟な発想でユニーク物件を次々開発
不動産市況が活性化する中、大手、中堅、新興入り乱れてマンションデベロッパーの動きが活発化している。ブランドカ、コストパフォーマンス、それぞれの強みを生かして戦略を練っている。この特集では各社の取り組みを研究することで業界の新潮流を見いだす。
第10回異業種からの挑戦者
張り巡らされた網の目の人脈
不動産業界は他の業界に比べ業界色の強い職業だ。独特の商習慣、影が伴う華やかさ。一度この世界に足を踏み入れたものは、その魅力というか吸引力から免れることができないかもしれない。
そのため、現在のマンションデベロッパー各社の社長の経歴を見て行くと、細胞分裂のようにマンションデベロッパーからマンションデベロッパーが生まれ、栄枯盛衰を繰り返して現在の状況を迎えていることが分かる。
この不動産業界は、大きな建設物を扱う豪快な世界に見えるが、実は緻密な情報合戦の世界である。ライバルよりも少しでも早く情報を仕入れ、少しでも早く手を打つことで大きなビジネスをものにできるのである。そのため情報を収集しやすくする人脈が大きくモノを言うのである。
弊紙でも過去に大京出身社長やリクルートコスモス出身社長、伊藤忠商事出身社長特集を組んで紹介してきた。彼らは多くの場合、退職した後も交流を持ち合い、それぞれの道に進みながらも、お互いに助け合って事業を拡大しているのである。このようにして網の目のように張り巡らされた不動産業界の一大人脈網が形成されているのである。
しかし、その一方で不動産会社出身の経営者が多いこの業界だが、ごく稀に異業種から不動産業界にチャレンジする者たちがいる。
不動産業界の経営者が備え付けている人脈といったバックグラウンドがない代わりに、彼らは異業種から進出してきた新しい感覚を武器に、果敢にも勝負を挑んでいるのである。そのような変り種経営者から新しい発見や業界の新しい方向性が見えてくるかもしれない。
(中略)
名古屋で不動産流動化事業を手掛けるトーシン(愛知県名古屋市・大証ヘラクレス)の石田信文社長も異業種からの参入組だ。石田社長は携帯電話販売事業から、不動産事業を開始した人物。
「時流を感じて不動産事業を開始しました。地価は底を打っていましたし、不動産証券化やファンドなど新しい手法も登場していました。私は新しいもの好きということもあり名古屋で始めての開発型流動化事業を手掛けたのです」
もちろん不動産の専門家ではない石田社長は、実行にあたってはアレンジャーに頼ることなく独学で手法を研究したという。その取り組みが名古屋で他社を出し抜くことになり、同社に引き合いが多数寄せられるようになった。
同社の開発流動化案件である「さくら Hills IZUMI TOWER」は、地下1階地上21階建てに140戸の物件が入ったマンション。24時間対応のコンシェルジュサービス、屋上にはスカイラウンジやヘリポートの設置も計画している。柔軟な発想で開発された高付加価値物件は異業種参入社長ならではといえるかもしれない。
(中略)
異業種参入組の社長に共通することは、しがらみにとらわれず、柔軟な発想で事業展開を行っていることだ。人脈やしきたりを大事にする古い体質の不動産業界だけに、こういった新しい発想の経営者は異色の存在として輝きを放つことができるのだ。
まだまだ異業種参入者が少ない不動産業界だが、今後こういったチャレンジャーが増えることで業界全体がより活性化していくだろう。流動化がキーワードのこの業界だが人材の流動化が今後のキーワードになるかもしれない。
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